自分のサイトの開設記念日間違えてましたさっきまで!!(爆。)
今日なんかあるとは認識してたんですが、勘違いしてました開設じゃなくて某ネッ友さんのお誕生日でした*
(最近音沙汰ないけどお元気かしらん)
でもまぁ、せっかく書いたので小ネタをひとつ載せときます。
不二パラレルネタ~。
「よい、しょっと」
抱えきれない程のシーツを青空いっぱいに広げ、ほうと一息。
もう大分慣れた仕事とは言え、肉体労働の数々にはいつまで経っても馴染めそうにない。交代制の仕事ではあるのが救いだが、大の男もこれを毎日と言われたらこなせるか怪しいものだ。
それでも。
(平和ね)
適度に湿った土と緑の香り。青い空と白い雲を縫ってはばたきさえずる小鳥。
赤茶けたレンガのお屋敷に映えるよう丁寧に植え込まれた色とりどりの花々。ふと気を緩めれば、使用人の立場さえ忘れてしまうような安息の景色。
小さな楽園。
これ以上を、望むべくもないのに。
「 」
「!」
不意に呼ばれ、現実に引き戻される。
色素の薄い髪と肌、柔らかな微笑み。現実だというのにそこには、御伽噺からすり抜けてきたような繊細な佇まいの青年が立っていた。
「不二様」
繊細、だけれど。
そこに潜む芯の気配がどうしても拭えない。
私は最近、この方が苦手だ。
「一息ついたところ?」
「え、えぇ。お洗濯が。でもすぐ次のお仕事に戻りますので」
「良いよ、そんなに急かなくても。父も母も今夜は出かけたまま帰らないし、夕飯の用意はいつもより楽だろう?少しくらい休んだほうが良い」
「・・・でも」
「ほら、ここ」
『おいで』
庭の隅に置かれたベンチにゆったりと腰掛け、彼は目線で私に隣をと促した。
ほら、この瞳。
かの神話に出るアポロンのような美しさを持ちながら、私を射抜いて逃がさない。抗えない事を充分承知の上で彼は陽の下今日も微笑むのだ。
おずおずと近づき、ベンチに座る。狭い四角の中、精一杯彼と距離を取れるように。
使用人が、そのお屋敷の若君とこんな風に並ぶだなんて。ああ、どうしようとぐるぐる巡る私をよそに、不二様は楽しそうに笑った。
「そんなに逃げなくても」
「に・・・逃げている訳では。ございません」
「堅苦しくしないでよ。誰もいないんだから」
「いいえ。不二様に失礼をする訳には」
「・・・いつも、そうだね」
ほんの少し下がった声のトーンに、私の心臓がわずかに跳ねる。融通が利かず却ってご不興を買っただろうか。不快な思いをさせてしまっただろうか。
・・・嫌われて、しまっただろうか。
そう、思ったのもつかの間。
「これ」
「っ、不二さ」
「受け取って」
何の予告もなく、不二様がすばやく私の手を捕らえる。突然の事に熱が上がるが、怯む間さえなくこの手に何か小さな包みが収められた。
嫌な予感。胸の奥に苦いものがこみ上げる。自分の顔が歪むのが分かった。
けれど、いつも優しい不二様は、こういう時に限っては決して私を助けては下さらない。澄んだ瞳でじっと私を見つめ、ただひたすら私を促す。
吸い込まれそうなその瞳の魔力に耐え切れず、私は包みを開いた。かわいらしい、花をかたどった髪留めがきらきらと姿を覗かせた。
「・・・これ・・・は・・・」
「本当は、もっと良いものをあげたかったんだけどね。ラピスラズリの付いたのや、琥珀のブローチ」
「そ、そんなの!」
「うん。だから、これなら付けてくれるでしょ?」
飛び上がりそうな私をおさえ、不二様はにっこりと微笑んだ。・・・なんてずるい人。私にまで『これなら問題ない』という同意に誘い込んだ。
頂けない、頂く理由がない。
そう念じ続ける私を見透かすように、不二様はあっさりと ―残酷なまでに美しく― 微笑みと共にその言葉をもたらした。
「誕生日、おめでとう」
罪深き私を貫くのは、その罪を暴く、いつかの真の刃だろうか
それとも
強く私を惹き寄せる、その 蟲惑の瞳だろうか。PR